小説がお好きなんですか?

小説もマンガもアニメも好きです。大学院は博士課程まで進み、制御理論の研究をしていましたが、小説やマンガやアニメなどの創作活動を支える仕事をしたかったので、就職活動はピクシブ一択でした。

小説を自分で書くよりも、書く人を支える仕事がしたかったのですか?

小説は高校の高校の終わり位から、大学に入った位の頃まで書いていました。SF小説みたいなものを書いていましたね。テキストエディタで書いていたのですが、エディタの機能にいろいろ不満があって、ついには自分でエディタをつくるようになりました。

どんなエディタですか?

自画自賛になりますが、縦書きもできて無駄な機能がなく、データの可搬性も高い、いいエディタです。今も趣味でつくり続けていて、最近はアプリも出しました。iOS版とAndroid版両方出しています。フリーソフトのダウンロードサイトで、デスクトップ版は毎月1000件くらい、アプリ版も同じくらいダウンロードされています。次はクラウド同期機能をつけて、サブスクも展開しようと考えています。

趣味の範疇にとどまらない活躍ですね。

縦書きには安定した需要があるんです。縦書き文化を残したい!といった気概も多少あります。ユーザーが好きなクリエイターの創作活動を支援するpixivFANBOXにも登録していて、何人かの方から支援もいただいています。世の中は、活字離れが懸念されて久しいですが、実はスマホの普及で、活字を読む習慣がなかった人でも、スマホで何かを読む人が増えているんです。

ピクシブを就職先として考えるようになったきっかけは?

東京に遊びに行くついでに、逆求人イベントが開かれていたので参加しました。そこで人事の方から、「ピクシブは小説もやっています。最近力を入れているんですよ」という話を聞いて、興味を持ちました。また、編集者のように一つ一つの作品に関わるよりは、作品を生み出すプラットフォームをつくりたいと考えていたので、ピクシブは最高でした。

小説に関わる仕事を志望して入社したのですか?

そうですね。ただ、小説プロジェクトは入社3年目の後半に出来た部署で、それまではpixivコミックのアプリ開発を担当していました。現在もコミックと小説の業務を兼務しています。小説にはヘビーユーザーが多く閲覧時間も長いため、会社として力を入れていこうということで小説プロジェクトが立ち上がりました。私は入社以来ずっと、小説をやりたいとアピールしていたこともあって、立ち上げメンバーとして声をかけていただけました。

小説担当として、今後力を入れていきたいことは?

オリジナル作品に力を入れていきたいと思っています。ここ数年で小説プラットフォームはだいぶ増えましたが、オリジナル作品を豊富にすることは、他社との差別化にも有効です。機能的には、読みたい小説が探しやすくなるように改善したいと考えています。pixivは、イラストは探しやすく見やすくなっていますが、小説のほうはまだまだです。読みたい小説を探すには、テーマや作家など何かしらのフックが必要なので、フックを増やすことから始めたいと思います。

コミックに関して、目指していることなどはありますか?

子供向けのアプリを開発したいと思っています。マンガを読む子供は減る傾向にあるので、マンガへの「入口」をつくることが必要だと考えています。スマホの普及で、マンガ離れをしていた大人がまたマンガを読むようになってきてはいますが、新しいマンガファンの獲得に至っているかは疑問ですね。マンガから多くの感動や学びを得てきた世代としては、子供たちに「マンガを読んで楽しい」という体験をしてもらいたいんです。

作家の育成に関してはいかがですか?

pixivコミックでは毎月、月例賞を開催して、月例賞を受賞した作品が商業ベースに乗る流れが出来ています。小説でもその流れが出来ればいいなとチーム内で話し合っています。すでに小説では「百合文芸小説コンテスト」や、マンガでは「異世界転生・転移マンガコンテスト」など、出版社と共同でpixivだから実現可能なコンテストも開催しています。「百合文芸」に関しては、これまでどこにも発表して審査される場がなかったので、コンテストを開催すれば絶対成功するだろうと考えてました。実際に第一回では1300もの作品が集まり、第二回では、第一回を超える作品が集まっています。

一番思い出に残っている仕事を教えてください。

入社1年目の年末に、pixivコミック初のテレビCMを放映することになりました。CM制作プロジェクトは、部署を横断して集められた12人のメンバーで進められ、「オロチ作戦」と名付けられるほど、社内も盛り上がっていました。初めてCMが放映された正月には、オフィスにコタツを5台置いて、大勢で放映の瞬間を待ちました。そして、CMが流れるたびに、社内には「オー!」という歓声が。自分が手掛けた画面がCMで流れるのは感無量でした。

ピクシブで楽しく仕事をする、コツを教えてください。

ピクシブで働いている人は、マンガやアニメなど好きなものがあって、例えばマンガの中でも、特定のジャンルの話になると熱が入るなど「語れる」ものがある人が多いです。「好き」がある人はもちろん楽しいのですが、他の人の「好き」にも興味を持つと、さらに楽しくなると思います。