ピクシブに転職するきっかけは何だったんですか?

前職ではIT系の会社でWebデザインを担当していました。その時にとある外部のデザイン勉強会に参加したのですが、そこで当時のピクシブ代表片桐と出会い、「うちに転職してこない?」と猛烈にアプローチを受けました。話を聞くと、私が当時デザインしたサイトのことを知ってくれていて、「あのデザインはすごくいい」と褒めてくれたんです。その他にも海外のデザイナーの話なんかで盛り上がり、「こんなにデザインが好きで、デザインを重視している社長がいるんだ」と素直に驚き、転職を前向きに考え始めるようになりました。2008年の頃の話です。

では、片桐社長の熱意に押されて転職を決めたのですか?

もちろん、それも大きな理由です。しかし、それだけではありません。もともとpixivを使っていましたし、サービスも大好きでした。それに、初めて見たときから、「このサービスは世界に行ける」と思えたことも大きな要因です。日本ならではのサブカルチャーを扱っていましたし、とても将来性を感じたのです。

2008年当時のピクシブはどんな会社でしたか?

当時はまだ8人程度しか社員もおらず、オフィスも現在とはぜんぜん違う雑居ビルの一室で、フロアに犬も飼っていたので、もう「狭い」「暗い」「臭い」…。前職のオフィスが六本木ヒルズだったこともあり、ものすごいギャップでした(笑)。ただ、仕事自体はとても面白かったですね。WebデザインやUIデザインという仕事は前職と同じでしたが、ピクシブでは「ああして、こうして」という指示が上から降りてくることがない。自分から社長に「こうしましょう」と提案する仕事スタイルがとても新鮮で、私の承認欲求を満たしてくれました。片桐のデザインへのこだわりが強くて、どの仕事もすんなり終わることはありませんでしたが…(笑)。

その後、どんな仕事をされてきたのですか?

現在のピクシブの会社のロゴマークも私の仕事です。pixivのリニューアルではWebデザインからUIデザインまで幅広く関わってきました。会社規模が大きくなっていくにつれ、当然、一つの仕事に携わるメンバーの数は増えていくのですが、それによってメンバー間のコミュニケーション量が減るということはなかったですね。ずっと少人数でやっていた頃と変わらない熱量で仕事に取り組んでこれました。

ピクシブのデザイナーとして求められるものは何ですか?

ピクシブは社長はじめ会社全体がデザインへのこだわりを強く持っている会社なので、デザインスキルはそれ相応に必要です。でも、それ以上に「このサービスを使うことで、ユーザーはどんな体験ができるだろう」ということを常に考え続けられる人でなくては務まらないと思います。最近、私自身はpixivというWebサービスに携わる仕事現場が、スペインの有名な建築「サグラダ・ファミリア」の建設現場と似ていると思うことがあります。つまり、完成形があるようでなくて、作り続けていくことにこそ価値があるような仕事なのではと思うのです。それに、サグラダ・ファミリアがスペインの文化を世界に発信しているように、pixivもまた日本が誇る文化を世界に伝える役割を果たしているサービスだと考えています。

改めて、ピクシブの好きなところを教えてください。

いろいろありますが、まず、仕事中にイラストを見ていても怒られない(笑)。純粋に楽しいですね。あと、デザイナーという仕事に関していうと、より上流工程から携わることができる。つまり、サービスのあり方から考える面白さがあり、未来の話ができる環境だと思います。経営陣の考えが一方的に降りてきて、それをデザインに落とし込むのではなく、経営とデザインが同じレイヤーで何度も行き来しながら未来を決めていくダイナミックさを味わうことができる会社だと思います。

今後の目標は?

転職の動機でも触れましたが、「pixivは世界で勝負できるサービス」だと本気で思っています。そのためには、もっと進化し続けていかなければいけません。pixivの本質は、作品のギャラリーサイトではなく、「作品を通じたコミュニティサイト」。だからこそ、「どんなコミュニケーションが起きるか」「プロダクト(Webサービス)にどう血を通わせるか」を徹底的に考え、リニューアルし続けていく必要があります。世界に類を見ないサービスにとって、ライバルは自分たちの現在の仕事です。自分に負けない仕事を続けていきたいですね。

宮本さんにとって「つくる」とは?

私の場合、2つあると思います。1つ目は「つくる」とは「生きる」こと。ただ、「生きる」と言っても別に大げさな意味ではなくて、何かをつくっているということは、それだけの時間を使っているということ。それは、生きているということに他ならないという意味です。そして、2つ目は「つくる」とは「文化を支える」ことだと思います。サグラダ・ファミリアの建設現場に携わる職人たちのように、私たちの「つくっているもの」は、社会にとっても文化的な意義のあるものだと思うのです。だからこそ、悔いのない仕事がしたいですね。