中国と日本の大学を卒業されていますね。

中国の浙江理工大学を卒業した後、名古屋市立大学の大学院へ進みました。小学2年生まで日本で過ごし、大学院進学の際に再び来日しました。浙江理工大学ではデジタルメディアを、名古屋市立大学ではタイポグラフィーを研究しました。漢字をイタリック書体でどう美しくデザインできるかを考察し、自ら漢字イタリック書体の試作も行いました。ちなみに今も東京タイポディレクターズクラブの国際フレンドリーメンバーとして活動をしていて、審査会の翻訳を担当したこともあります。

デザインに興味を持ったのはいつからですか?

7歳からWindows 3.1のPCで遊ぶようになり、Photoshopも小学生の時から使っていました。画像処理やインターフェースに興味があって、きれいなアイコンをつくるのが好きだったんです。大学2年、3年の時にはソフトウェアのスキンのデザインを競うGUIのワールドチャンピオンシップにも出場しました。

ピクシブに入社するきっかけは?

デジタルメディアに限らず美術は全般的に好きで、日本のアニメもずっと視ていました。pixivもユーザーとして毎日利用していました。
応募のきっかけは、ある日たまたま、サイドバーに新卒募集のバナーを見つけたことです。応募画面にログインしてみると、入力項目が少ないのですぐにエントリーしました。入力項目がたくさんある企業もあって、エントリーが面倒だなと思ってたのです(笑)。また、Webデザイナーを志望する新卒者で、プロダクトデザインへの意識が高い学生はそれほど多くないはずなので、チャンスと思いました。

デザイナーとして、ピクシブにチャンスを感じたのですか?

当時のピクシブのプロダクトデザインには、日本っぽい良さがありましたが、デザイン次第で、海外の人間にももっと魅力的なサイトにできるだろうと考えていました。私は日本のサブカルチャーが大好きなので、その魅力をデザインの力で、もっと世界に知らしめていきたいです。

入社して、どんなデザインに携わってきましたか?

pixiv FACTORYのプロダクトデザインを中心に担当してきました。トップページや入稿画面のリニューアル、Tシャツなどのグッズを作成する際、画面上でモックアップを作成して完成物をイメージしやすくするプレビュー画面の作成など様々なデザインを手掛けてきました。
2019年からはブランドアクティベーション室で、海外展開に向けたリサーチも担当しています。ピクシブを海外でもポジティブに認知し、使ってもらうためには、どんなアプローチと突破口があるのかを調べ初めてます。

デザインの仕事で大切なことは?

どんな課題を解決すれば、ユーザーの役に立て、プロダクトや企業の成長につながるのか。課題を正しく見極め、適切なアクションで結果を出すことです。ピクシブでは、アンケートによる定量調査や、ユーザーインタビュー、グループディスカッションなどの定性調査を始めとするリサーチなど、デザインの初期段階で時間をかけています。
この作業は、「見えないデザイン」と言ってもよく、プロダクトデザイナーには重要です。デザインは、デザイナーの個性を表現するためものではなく、課題を解決するための手段です。課題は何か、どう改善していけばいいのか。革新的なデザインほど答えがわからないので、リサーチや検証を重ねて進め、課題を紐解いていく楽しさがあります。

これまでで印象に残っている仕事を教えてください。

pixivFACTORYで同人誌部門をリニューアルしたことです。当時はチームに入ったばかりで同人作家の事も詳しいといえないので、とにかくユーザーリサーチを実施してみました。そこから、ニーズの洗い出しや、同人誌を印刷する時のユーザーの意識や行動を検証。その結果、同人誌印刷の注文は旅行予約に近いということを発見しました。そこで、いろいろな旅行サイトを参考にしてトップページとプラン検索周りをリニューアルしたところ、検索数が3倍近くに上昇し、注文も増えていきました。ユーザーの利便性向上に役立てた実感を得られました。

将来、実現したいことなどはありますか?

大きな目標になりますが、ピクシブを通して日本のデジタルプロダクトデザインに影響を与えられる仕事ができたらなと思ってます。ピクシブのデザインは正直なところ、世界一を目指すにはまだまだのレベルです。しかし、データ駆動やリサーチなどプロダクトデザインの方法、体制をしっかり確立していくことで、世界レベルに達していくと思います。
アメリカのプロダクトデザイナーは大半学校でプロダクトデザインを専門的に学べますが、日本を含まえる多くの国ではまだまだ、独学でプロダクトデザインを学んでいる人が多い状況ではないでしょうか。日本のプロダクトデザインのレベルを上げていきたいとお思いの方はきっと多いと思います。「自分が日本のプロダクトデザインを変えてやる」くらいの気概をお持ちの方にはぜひ、仲間になってほしいと思います。

ピクシブも今後ますます、社員の国籍が多様化していきますね。

すでに10名ほど、いろいろな国籍の社員が活躍しています。ピクシブは日本っぽさがあまりないので、初めて日本の企業で働く人でもすぐに馴染めると思います。海外展開に伴ってチャンスも広がっていますので、国籍に関係なく、サブカル好きの人はぜひ検討すべき会社だと思います。

ピクシブのデザイン向上のために、心がけていることはありますか?

デザインの組織力強化に力を入れています。ピクシブの強さは、社員一人ひとりが問題意識を持って行動し、サービスから働く環境まで、常に改善を繰り返して進化し続けているところにあると思います。私の入社当時に比べて、働く環境もだいぶ良くなりました。定時にきちんと帰る人がかなり増えましたし、給与水準も上がったと思います。

改めて、ピクシブの好きなところを教えてください。

社員の仲が良くて仕事が進めやすいところですね。社員同士が気持ちを通わせることができなければ、意思決定などにも影響が出て仕事がしにくくなります。ピクシブは、「創作活動を、もっと楽しくする。」というミッションが共有されているので、改善なども早く進みます。